アクアリウムでは魚の排泄物や枯れ葉などから有害なアンモニアが発生します。
それらはバクテリアの働きにより弱毒化、無害化されていきます。
水槽の中で繁殖・活躍してもらいたいバクテリアについてのお話しです。
バクテリアの種類
アクアリウムや水質浄化に関わるバクテリアについて簡単にふれます。
ニトロソモナス
アンモニウムを酸化させ亜硝酸を作る細菌。
増殖速度が遅い…水槽の立ち上げに時間がかかるのは、たぶんこれが原因です。
●好気性独立栄養細菌
ニトロスピラ
亜硝酸を酸化させ硝酸を作る細菌。
こちらも増殖速度が遅い。
●好気性独立栄養細菌
脱窒菌
亜硝酸、硝酸を窒素にする細菌。
●嫌気性従属栄養細菌
アナモックス菌
アンモニウム、亜硝酸を窒素にする細菌。
従来の硝化脱窒サイクルより画期的な細菌ですよね。
この細菌は嫌気性独立栄養細菌なので酸素や有機物を必要としません。
汚水処理施設などで使われて始めています。
市販のバクテリア剤は無いようです。
アンモニア濃度、酸素濃度、水温と色々条件があるので、アクアリウム使うのは厳しそうです。
光合成細菌
光合成により酸素を発生させるシアノバクテリア、酸素は発生しないが光合成に硫黄を使う紅色硫黄細菌、緑色硫黄細菌と有機物を使う紅色非硫黄細菌がいます。
PSBとして販売されているものは、主に紅色非硫黄細菌と栄養素。
光合成細菌は病原性細菌の抑制や水質浄化を目的に農畜水産業や汚水処理にも使用されます。
また光合成細菌はアミノ酸も生成するので動植物の栄養も供給します。
バクテリアを増やすには
まずは硝化菌(ニトロソモナスやニトロスピラ)にいかに早く増えてもらうか。
増殖の遅い硝化菌が自然に水槽に入り込み増えるまで待つ必要はありません。
そして、極端な話、脱窒は考えなくても良いと思います。
以下がポイントです。
1.表面積の多い多孔質のろ材を使う
➡バクテリアの繁殖エリアが増える。
2.バクテリア剤を入れる
➡自然発生を待たず人為的にバクテリアを水槽内に追加する。
3.エアレーションをする
➡水を撹拌し溶存酸素量を増やすことで好気性細菌に酸素を供給する。
4.アンモニアを追加する
➡パイロットフィッシュ(丈夫な魚がいなければ硫安でも…)を入れアンモニアを発生させる。
5.水温を上げる
➡硝化菌の最適水温は35℃と言うデータもあります。
しかしヒーターの温度設定、パイロットフィッシュ、溶存酸素量などを考慮すると30℃位でも。
※冬場は25℃位でも(ヒーター、光熱費が大変ですから)
バクテリアが増えると
アンモニア分解時にpHが下がる。
硝酸まで分解されると植物に吸収される。
結果、水はピカピカになり透明度が上がる。
換水や底床の掃除もしっかり行えば、長期維持できる素晴らしい環境の出来上がりです。
バクテリアが増えないと
有害なアンモニアや亜硝酸が残るため生体の調子は悪くなり、病気になったり死んだりする。
茶ゴケがいつまでも生える。
水槽立ち上げからしばらく経って、どうもバクテリアが増えた様子が無い場合は、環境や対応を考えないといけません。
対策その1
多孔質のろ材を追加する。
詰め込み過ぎると目詰まりし流量が減るので注意しましょう。
対策その2
外部フィルターやワンランク上のフィルターに変える。
バクテリアの繁殖エリアが増える事及び基本的なろ過能力の向上。
対策その3
ゼオライトを入れる。
アンモニウムを吸着。
リバースリキッドフレッシュを添加する。
アンモニア、アンモニウム、亜硝酸、硝酸、リン酸などの酸化物を吸着。
バクテリア関連用語
嫌気性細菌
増殖に酸素を必要としない細菌。
好気性細菌
酸素のある所で増殖する細菌。
独立栄養細菌
二酸化炭素を増殖に使う細菌。
従属栄養細菌
有機物(一酸化、二酸化炭素を除く)を増殖に使う細菌。
まとめ
簡単にイメージしてみました。

最後に
バクテリア剤の添加には色々議論があろうかと思いますが、前述の通りニトロソモナスなどの硝化細菌は繁殖速度が遅いので、すぐに生体を導入する方はバクテリア剤の添加は全然アリだと思います。
なぜなら、いつ、どこから、どのように菌が入ってくるか分からないからです。
また有益でない菌が増えてしまうと後から良い菌は増えないかもしれない・・・菌の世界は排他的・一方的だと言う方もいます。
それでも、パイロットフィッシュなど丈夫な魚を投入し自然にバクテリアが繁殖するのを待つ方法もありますが、バクテリアが増えるまでは水質は段々と悪化していきます。
その場合、換水あるのみです。
さて、簡単にバクテリアについて触れましましたが、有機物をアンモニアにする菌もいますし、硝化菌とは逆、還元し有毒化する菌も発生することもあります。アナモックス菌のように比較的最近発見された菌もあります。これから見つかる菌もあるでしょう。
飼育水や底床を顕微鏡で覗かないと思うので、水がピカピカで茶ゴケも生えなければ有益なバクテリアが繁殖している…って事になるのでしょうが、もう少し技術が進み具体的に分かるようになれば良いなと思います。また画期的なバクテリア剤の商品化も期待しています。
最後がちょっと長くなってしまいましたが、読んで頂きありがとうございました。