植物は光合成を行うことにより成長し生命を維持します。
光合成は太陽光の光エネルギー、水と二酸化炭素からブドウ糖をつくり酸素を排出します。
水草育成においては太陽光の代わりにLEDライトなどで光を供給し、二酸化炭素はボンベなどで水中に添加し溶解させることで水草に供給します。
この他にミネラルも液肥や固形肥料により供給しなければいけません。
ここでは、光、栄養素、二酸化炭素の供給そして水質について簡単に触れたいと思います。
光
ご自分の水槽サイズに合い、かつ育成に適したLEDライトを探してみましょう。
水草育成をうたっているLEDライトは赤や青の波長のグラフなどパッケージや各社の製品ページにて記載、解説しています。
また光量の単位であるルーメン(lm)は値が大きいほど明るくなります。
照明時間
初めての水草育成であれば8時間くらいで様子を見て、足りないようであれば照明時間を10時間にするなどして調整してみると良いかもしれません。
ただし長時間の点灯や消し忘れはコケの原因のひとつです。
仕事などで忙しい方はタイマーで照明時間をコントロールする方法もあります。
必要な光量
下表はだいたいの目安です。
光量の単位であるルーメン(lm)はLEDライトに光束xxxxlmと記載されています。この値が大きいほど明るい照明になります。
陰性水草であれば、少なくても大丈夫でしょうし、水草を赤くしたいのであれば、もっと必要な場合もあります。
少なすぎればければ光合成しないし育たない。多すぎれば葉が焼け落ちる、コケ発生の原因になる。
ご自分の水槽と相談になります。
水槽サイズ | lm(ルーメン) |
30㎝ | 600lm |
45㎝ | 1500lm |
60㎝ | 2500lm |
90㎝ | 5000lm |
120㎝ | 7000lm |
栄養素
植物の三大栄養素は、窒素、リン、カリウムです。この他にも、鉄、カルシウム、マグネシウムなども微量ではありますが必要になります。
窒素
代表的な栄養素で、熱帯魚のフンや水草の枯れ葉をもとに、アンモニア…硝酸とバクテリアが分解していくので、水槽内にバクテリアがしっかり育っている場合は、窒素が供給されているのではないでしょうか。
試験紙などにより水質をチェックし過不足を確認する必要があります。
水草だけの水槽(熱帯魚なし)や有茎草がたくさんだと、逆に添加が必要な場合もあります。
ちなみに水草の吸収を超えた余分な硝酸はコケの原因の一つにもあります。
液肥:ADA グリーンブライティ・ニトロ
リン
熱帯魚の餌から発生するので、窒素同様十分にあると思われます。
しかし水草のみの水槽だと不足してしまいます。
液肥:トロピカ 水草用液体栄養剤 緑液
カリウム
上記2つとは異なり、供給源が無いもしくは微量であるため
添加必須です。
三大栄養素の中で一番不足する栄養素になります。
液肥:ADA グリーンブライティ・ニュートラルK
鉄
水草を赤くすると言われている栄養素。
個人的には強い光量の方が重要(鉄が無くて大丈夫と言っているわけではありません)だと思います。
液肥:ADA グリーンブライティ・アイアン、メネデール
カルシウム、マグネシウムその他
カルシウムやマグネシウムは水道水に含まれています。
GHが特に高い水道をお使いの方は過剰になりがちで、育成に不向き。また過剰なカルシウムやマグネシウムは、あのコケの原因と言われています。
液肥:ADA グリーンブライティ・ミネラル
二酸化炭素
二酸化炭素は熱帯魚、水草、バクテリア等も放出するので水槽内にも存在しますが、十分な量ではありません。
二酸化炭素の添加は水質を弱酸性に傾ける作用もあるため育成に大きく差がでます。
二酸化炭素の添加方法
①発酵式
砂糖とイースト菌の発酵により二酸化炭素を発生させる方式。
容器、チューブ、ディフューザー付きで市販されています。
1.5ℓ炭酸ペットボトルなどを使用し自作も可能です。
- 導入価格、維持費が安い
- 発酵が気温に左右される
- 添加を調整できない
②化学反応式
重曹とクエン酸の化学反応により二酸化炭素を発生される方式。
ステンレス容器タイプとペットボトルを使用する簡易タイプがある。
- 導入価格(簡易タイプ)、維持費は安い
- 簡易タイプは添加の調整がやや難しい
- 場所をとり目立つ
③高圧ボンベ式
小型ボンベまたはミドボンに高圧で収納されているCO2をレギュレータ等を使用し添加する方式。
- 導入費用が高い(レギュレータ、電磁弁等)
- 小型ボンベだと小さく見栄えが良い
- 添加量を調整できる
④その他
- タブレットを水槽内に投入しCO2を発生させる方式
- 拡散筒にCO2を添加し水に溶けるのを待つ溶解方式
水質
水草を育てるには弱酸性の軟水が良いとされています。
弱酸性はPHの値で5.5~6.5が目安になります。
軟水の基準はGHで1~3と言われているので、まずは3を目指しましょう。
弱酸性化
水槽の水を弱酸性にするのには、ソイルの使用、流木やマジックリーフの投入、水質調整剤などでPHの値を下げられます。
ただ、石を水槽に多用していると石から出るアルカリ成分によりPHが上昇します。
またTDSの値を図ってみるのも良いと思います。
水中の電解物質が多すぎれば、いくら水質調整を使ってもなかなかPHは下がりません。
水換えによりTDSの値を減らして水質調整を使った方が効果があるはずです。
軟水化
水道水の硬度(GH)が高い場合PHも下がり難く水草育成にも不向きであるためカチオンフィルターや水質調整剤で値を下げましょう。
イオン交換樹脂を購入し自作でも簡単にカチオンフィルターを作れますのでチャレンジしてはいかがでしょうか。
水温
水温は25℃以下にしましょう。
水温が高いと二酸化炭素の溶存量が減ります。何のために二酸化炭素を添加しているのかと言う話になってします。
そこで要注意なのは夏の水温です。
近年35℃を超える日も少なくありません。
水面に専用のファンを使うことにより気化を促し水槽の水から熱を奪ってもらいましょう。
アクアリウム用のクーラーを買う余裕のある方は、ゼンスイ社のクーラーを検討してはいかがでしょうか。